自分の本音がわからないときに考えてみたいこと

「私は、本当はどうしたいんだろう」

そう考えてみても、答えが出てこないことがあります。

仕事を続けたいのか、辞めたいのか。
この人と一緒にいたいのか、離れたいのか。
今の暮らしが好きなのか、それとも何かを変えたいのか。

自分のことなのに、自分の気持ちがわからない。

そんな状態になると、「自分のことくらい、自分でわからないと」と焦ってしまうかもしれません。

けれど、私たちの気持ちはいつも、はっきりと言葉になっているわけではありません。

周りの期待や常識、不安、損得、これまでの経験。いろいろなものが重なることで、自分が何を感じているのか、何を望んでいるのかが見えにくくなることもあります。

この記事では「本音」という言葉を、今の自分が感じていることや、心のどこかで望んでいることという意味で使います。

本音がわからないときに必要なのは、無理にひとつの答えを見つけることではありません。

まずは、自分の中にある小さな感情や違和感に気づくこと。

そこから、少しずつ自分の気持ちを見つめてみましょう。

目次

そもそも「本音」って何だろう?

本音というと、

「本当は仕事を辞めたい」

「本当はこの人と別れたい」

「本当はこんな人生を送りたい」

といった、心の奥に隠されたひとつの答えを想像するかもしれません。

でも、人の気持ちはそれほど単純ではありません。

矛盾する気持ちがあってもいい

「やりたい。でも怖い」

「好き。でも一緒にいると疲れる」

「離れたい。でも寂しい」

このように、反対に見える気持ちを同時に抱えることもあります。

どちらかが本音で、もう片方が嘘とは限りません。

「好き」という気持ちも、「疲れる」という気持ちも、今の自分の中に存在している感情です。

だから本音を探すときも、

「本当の気持ちはどっち?」

と無理にひとつに決める必要はありません。

「私は今、こんなふうに感じているんだな」

と、まずはそのまま認めることから始めてみてもいいのです。

自分の本音がわからなくなるのはなぜ?

自分の気持ちがわからなくなる背景には、さまざまな理由があります。

周りの期待を優先している

家族、パートナー、友人、職場。

私たちはたくさんの人との関係の中で生きています。

そのため、

「親を安心させたい」

「相手を傷つけたくない」

「迷惑をかけたくない」

「期待に応えたい」

と思うのは自然なことです。

ただ、周囲の期待を優先することが続くと、「私はどうしたい?」という問いに答えにくくなることがあります。

いつの間にか、自分の希望よりも「相手はどう思うだろう」「どうするのが正しいだろう」と考えることが習慣になっているからです。

「こうあるべき」が強くなっている

「大人なんだから我慢するべき」

「一度始めたことは続けるべき」

「安定した仕事を選ぶべき」

「家族とは仲良くするべき」

私たちは知らないうちに、たくさんの「べき」を抱えています。

もちろん、社会のルールや責任を考えることは必要です。

けれど、「どうするべきか」ばかりを考えていると、その奥にある「私はどうしたい?」という声が聞こえにくくなることがあります。

本音を認めたあとのことが怖い

「本音がわからない」と思っていても、実は心のどこかでは薄々気づいていることもあります。

でも、その気持ちを認めた先に、

「仕事を辞めたら生活できるだろうか」

「この人と離れたらひとりになってしまう」

「挑戦して失敗したらどうしよう」

といった不安がある。

すると、「どうしたい?」という気持ちと、「実際にどうする?」という現実的な判断が混ざってしまいます。

ここで覚えておきたいのは、本音に気づくことと、その通りに行動することは別だということです。

まずは行動を決めなくてもいい。

「私は本当はどうしたいんだろう」と、気持ちだけを見てみる時間があってもいいのです。

自分の本音がわからないときに考えてみたい7つのこと

本音は、考え続ければ必ず答えが出るものとは限りません。

むしろ、少し視点を変えることで、自分の気持ちに気づけることがあります。

1.「どうするべき?」ではなく「どうしたい?」と考える

何かを決めるとき、私たちはつい、

「どちらが正しい?」

「どちらが得?」

「普通はどうする?」

と考えてしまいます。

そんなときは一度、それらを横に置いて、

「正解がないとしたら、私はどうしたい?」

と問いかけてみてください。

すぐに答えが出なくても大丈夫です。

「わからない」という答えが出ることもあります。

それでも、自分自身に問いかけることを繰り返していると、日常の小さな場面で「私はこっちのほうが好きかも」と気づくことがあります。

2.「嫌なこと」から考えてみる

「何がしたい?」と聞かれるとわからなくても、

「何が嫌?」

なら答えられることがあります。

人に急かされるのが嫌。

誰かの顔色をうかがうのが疲れる。

ひとりになる時間がないのが苦しい。

毎日同じことを繰り返すのがつらい。

「嫌だ」という感覚も、自分を知るためのひとつの手がかりです。

ただし、「嫌」という感情からひとつの答えを決めつける必要はありません。

たとえば「人に急かされるのが嫌」という気持ちの奥には、

「自分のペースを大切にしたい」

「失敗するのが怖い」

「自分で決めたい」

「少し疲れている」

など、さまざまな理由が考えられます。

「なぜ私はこれが嫌なんだろう?」

ともう一歩だけ掘り下げてみると、自分が大切にしたいものが見えてくることがあります。

3.誰にも知られないとしたら、何を選ぶか考える

私たちの選択には、思っている以上に他人の目が影響しています。

「こんなことをしたらどう思われるだろう」

「親に反対されるかもしれない」

「友達に変だと思われそう」

そんな気持ちが、自分自身の希望を見えにくくしていることもあります。

そこで、

「もしこの選択を誰にも知られないとしたら、私は何を選ぶ?」

と考えてみます。

もちろん、現実には他人との関係を完全に無視して生きることはできません。

それでも、いったん他人からの評価を取り除いて考えてみることで、「私は本当はこうしたかったのかもしれない」と気づけることがあります。

4.身体や感情の小さな反応を観察する

本音は、いつも言葉として現れるとは限りません。

ある予定を考えるだけで気が重くなる。

ある人と話したあとは、いつも疲れている。

ある場所に行くと、不思議とほっとする。

好きなことをしていると、いつの間にか時間が過ぎている。

そんな身体や感情の反応も、自分を理解するための手がかりになります。

ただし、

「緊張したからやめたほうがいい」

「安心したから正しい」

と単純に判断する必要はありません。

やりたいことに挑戦するときでも、不安や緊張を感じることはあります。

身体の反応を「答え」にするのではなく、

「私はなぜ、こう感じたんだろう?」

と考えるための材料のひとつとして扱ってみましょう。

5.「もし失敗しないなら?」と考えてみる

現実的な条件を考えることは大切です。

でも、本音を探している段階から、

「お金がないから」

「もう遅いから」

「私には無理だから」

「失敗したら困るから」

と可能性を消してしまうと、自分が何を望んでいるのかまで見えなくなることがあります。

そんなときは、

「もし失敗しないなら、何をしてみたい?」

「お金の心配がなかったら、どんな暮らしをしたい?」

「誰にも否定されないなら、何を選びたい?」

と想像してみます。

ここで出てきた答えを、そのまま実行する必要はありません。

大切なのは、その答えの奥にある価値観を見つけることです。

たとえば、

「自然の中で暮らしたい」

という気持ちの奥には、

「静かに暮らしたい」

「自分のペースを取り戻したい」

「自然に触れる時間を増やしたい」

という願いがあるのかもしれません。

表面的な答えだけではなく、

「なぜ私はそれを望んでいるんだろう?」

と考えてみると、自分が大切にしたいものが少しずつ見えてきます。

6.小さな「好き」と「嫌い」を集めてみる

「私はどんな人生を送りたい?」

そう聞かれると、難しく感じるかもしれません。

そんなときは、もっと小さなところから始めてみましょう。

朝と夜なら、どちらが好き?

ひとりで過ごす時間と誰かと過ごす時間、どちらが心地いい?

都会と自然なら、どちらが落ち着く?

予定のある休日と何もない休日なら?

静かな場所とにぎやかな場所なら?

人生を決めるような大きな質問ではありません。

でも、こうした小さな「こっちが好き」を集めていくと、自分が心地よいと感じる方向が少しずつ見えてきます。

自分らしさは、壮大な人生理念の中だけにあるわけではありません。

毎日の小さな選択にも、その人らしさは表れています。

7.今すぐ答えを出さなくてもいい

本音がわからないと、不安になって答えを急いでしまうことがあります。

でも、気持ちは時間とともに変わったり、少しずつ整理されたりすることがあります。

今日の答えが、

「まだわからない」

でも構いません。

わからないのに、

「きっと私はこう思っている」

と無理に結論を出すより、

「今はまだわからないから、もう少し自分を見てみよう」

と保留にすることも、ひとつの選択です。

「わからない」という状態も、今の自分の現在地なのです。

本音に気づいても、その通りに行動しなくていい

本音を知るのが怖くなる理由のひとつに、

「気づいてしまったら、行動しなければならない」

という思いがあります。

でも、本音と行動は分けて考えて構いません。

「辞めたい」と思っても、今日辞めなくていい

「本当は仕事を辞めたい」

そう気づいたからといって、明日退職する必要はありません。

「少し距離を置きたい」

と思ったからといって、すぐに人間関係を終わらせる必要もありません。

「違う場所で暮らしてみたい」

と思っても、今すぐ引っ越さなくていい。

まずは、

「私は、そう感じているんだな」

と自分の気持ちを認める。

そのあとで、

「では、現実的にはどうする?」

と考えればいいのです。

本音は「命令」ではなく、自分を知るための情報

自分の気持ちに気づくことは、すべての感情や欲求に従って生きることではありません。

本音は、自分自身について知るためのひとつの情報です。

気持ちだけではなく、生活、お金、責任、人間関係、将来のこと。

さまざまなものを考えながら、最終的な行動を決めていけばいいのです。

大切なのは、現実を考えるために自分の気持ちを消してしまわないこと。

「私はこう感じている。でも、今はこうする」

という選択もあります。

それも、自分で選んだひとつの答えです。

本音は「見つけるもの」ではなく「気づいていくもの」かもしれない

「本当の自分」や「本当の気持ち」という言葉を聞くと、心の奥深くにたったひとつの答えが隠されているように感じることがあります。

でも、人の気持ちは変化します。

昔の自分と今の自分が違ってもいい

昔は好きだったことに、今はそれほど惹かれない。

以前は大切だったものを、今は手放したい。

ずっと目指していた場所に、もう行きたいと思わなくなった。

そんな変化が起こることもあります。

それは必ずしも、「自分がわからなくなった」ということではありません。

さまざまな経験を重ねる中で、大切にしたいものが変わることもあるからです。

だから、

「本当の私はどれ?」

とひとつの自分を決めようとするより、

「今の私は、どう感じている?」

と問いかけてみる。

そのほうが、今の自分の気持ちに気づきやすくなるかもしれません。

まとめ|小さな違和感も、自分を知るための手がかり

自分の本音がわからないとき、無理に答えを出す必要はありません。

「なんとなく嫌だ」

「こっちのほうが少し好き」

「なぜかわからないけれど、ほっとする」

「理由は説明できないけれど、少し違う気がする」

そんな小さな感覚も、自分を知るための手がかりになります。

誰かに説明できるほど立派な理由がなくてもいい。

すぐに人生を変えなくてもいい。

まずは、自分の中に浮かんだ気持ちを否定せず、

「私は今、そう感じているんだな」

と気づいてあげる。

そして、ときどき、

「私は、本当はどうしたい?」

と自分に問いかけてみる。

すぐに答えが返ってこなくても大丈夫です。

本音とは、どこかに隠されたひとつの正解を探し当てることではなく、日々の小さな感情や違和感に耳を澄ませながら、少しずつ気づいていくものなのかもしれません。

変わってもいい。
迷ってもいい。
まだ、わからなくてもいい。

そのときどきの自分の声を聞きながら、自分なりの答えを見つけていけばいいのです。

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