自分のことがわからないのはなぜ?自分を知るための5つの方法

「自分が何をしたいのかわからない」

「何が好きなのか、自分でもよくわからない」

「自分らしく生きたいけれど、そもそも“自分らしさ”って何だろう」

そんなふうに、自分自身のことがわからなくなることがあります。

自分のことなのだから、自分が一番よくわかっているはず。それなのに、いざ「あなたは何をしたい?」「何を大切にしている?」と聞かれると、答えが出てこない。

でも、「自分のことがわからない」と感じること自体は、決して不自然なことではありません。

私たちの考え方や価値観は、これまでの経験や人間関係、置かれている環境など、さまざまなものから影響を受けています。そして、それらは人生を通して少しずつ変化していくこともあります。

だからこそ、自分を知ることは、一度答えを見つけたら終わりではありません。

今の自分が何を感じ、何を大切にしているのか。その都度、自分自身に問いかけながら知っていくものなのかもしれません。

この記事では、自分のことがわからなくなる背景として考えられることと、自分自身を少しずつ知るための5つの方法を紹介します。

目次

自分のことがわからないと感じるのはおかしいこと?

自分自身についてどの程度はっきりとした認識を持っているかは、人によって異なります。

心理学には「自己概念」という考え方があります。

これは、「自分はどんな人間なのか」「何を大切にしているのか」といった、自分自身について持っている認識やイメージのことです。

さらに、自分についての認識がどの程度明確で、一貫しているかを表す「自己概念明確性」という考え方もあります。

つまり、自分のことをいつでも完全に理解できているとは限りません。

また、人は経験を重ねることで、興味や価値観、大切にしたいものが変わることもあります。

以前は楽しかったことに興味を持てなくなったり、反対に、昔は気にも留めなかったものに強く惹かれたりすることもあるでしょう。

「自分がわからない」と感じているときは、自分を失ってしまったのではなく、今の自分を知り直す時期にいるのかもしれません。

自分のことがわからなくなるのはなぜ?

自分がわからなくなる理由を、一つに決めることはできません。

その人の性格や経験、置かれている環境などによって背景は異なります。

ここでは、自分の気持ちや価値観が見えにくくなるときに考えられる、いくつかの要因を紹介します。

周囲の期待を優先することが多い

家族、友人、職場の人、パートナー。

私たちは、さまざまな人との関係の中で生きています。

「期待に応えたい」
「嫌われたくない」
「迷惑をかけたくない」

そう思うこと自体は自然なことです。

周囲の意見を聞いたり、相手のことを考えて行動したりすることも、人間関係を築いていくうえでは大切でしょう。

ただ、いつも周囲の期待を優先していると、

「私はどうしたい?」

と自分自身に問いかける機会が少なくなることがあります。

「したい」よりも「したほうがいい」。

「好き」よりも「評価される」。

そんな基準で選ぶことが増えていると感じたら、一度、自分の気持ちにも目を向けてみるとよいかもしれません。

「こうあるべき」という正解を探しすぎている

「安定した仕事に就くべき」

「この年齢なら結婚しているべき」

「もっと社交的であるべき」

「ちゃんとした人生を歩むべき」

私たちは知らず知らずのうちに、さまざまな「こうあるべき」を抱えています。

もちろん、社会の中で生きていく以上、周囲の価値観を完全に無視することはできません。

しかし、「普通はどうするのか」「何を選べば間違えないのか」という基準ばかりを優先していると、自分自身の希望や価値観について考える機会が少なくなることがあります。

人生の選択には、誰にでも当てはまる一つの正解があるとは限りません。

「正しいかどうか」だけではなく、「私はどう感じているだろう」と考えてみることも、自分を知るためのヒントになります。

自分の気持ちを後回しにしている

仕事や家事、育児、人間関係などに追われていると、自分自身について考える余裕がなくなることがあります。

本当は疲れているのに頑張る。

嫌だと感じても笑って受け入れる。

寂しくても「大丈夫」と言う。

そんなことが続いていると、自分が何を感じているのか、すぐには言葉にできなくなることもあります。

自分の気持ちがなくなったわけではありません。

ただ、その気持ちに目を向ける時間が少なくなっている可能性があります。

ときには「今、私はどんな気分だろう」と立ち止まってみることも大切です。

他人と比べることが増えている

SNSを開けば、誰かの仕事、恋愛、旅行、暮らしなど、さまざまな人生が目に入ります。

人が他人と自分を比較すること自体は珍しいことではありません。

他人との比較によって、「自分はこういうことが得意なんだ」「こんな生き方に憧れているんだ」と、自分自身について気づけることもあります。

そのため、他人と比べることがすべて悪いわけではありません。

ただ、他人の価値観や評価ばかりを基準にしていると、

「私はどう感じている?」

「私は何を大切にしたい?」

という自分自身の基準が見えにくくなることがあります。

誰かを見て「羨ましい」と感じたときも、そこで自分を責める必要はありません。

「私は、その人の何を羨ましいと思ったんだろう?」

と考えてみると、自分が本当に求めているものに気づけることもあります。

自分自身が変化している

「昔はやりたいことがあったのに、今は何をしたいのかわからない」

そんなとき、自分を見失ってしまったように感じるかもしれません。

でも、以前とは自分自身が変わっている可能性もあります。

人は経験を重ねる中で、興味や価値観、大切にしたいものが変化することがあります。

昔の自分に合っていた仕事や人間関係、生き方が、今の自分には合わなくなることもあるでしょう。

「以前は好きだったから」

「ずっとこうしてきたから」

という理由だけで、過去の自分に合わせ続ける必要はありません。

「今の私はどうだろう?」

と改めて問い直してみることで、これまでとは違う自分が見えてくることがあります。

自分を知るための5つの方法

「自分を知りたい」と思うと、

「本当の私はどんな人間なんだろう」

「人生で本当にやりたいことは何だろう」

と、大きな答えを探したくなるかもしれません。

でも、最初から人生の答えを出す必要はありません。

自分を知るヒントは、日常の中にある小さな感情や違和感にも隠れています。

ここからは、自分自身を知るためにできる5つの方法を紹介します。

1.心が動いたことを記録する

「好きなことは何?」

そう聞かれても、すぐに答えられないことがあります。

そんなときは、無理に「好きなもの」を探すのではなく、日常の中で心が少し動いた瞬間を覚えておきましょう。

たとえば、

「この場所にいると落ち着く」

「この人の考え方が好き」

「この文章になぜか惹かれた」

「この仕事をしている時間は苦にならなかった」

「この景色をもう一度見たいと思った」

そんな小さな感覚で十分です。

できれば、ノートやスマートフォンなどに簡単に記録してみましょう。

いくつか集めて振り返ってみると、自分がどんなものに惹かれ、何を心地よいと感じているのか、共通点が見えてくることがあります。

「なんとなく好き」「なぜかわからないけれど気になる」という感覚も、自分を知るための大切な手がかりです。

2.「嫌だ」と感じた理由を考える

自分を知るというと、好きなことや得意なことばかりを探そうとしがちです。

でも、「嫌だ」「苦しい」「なんとなく違う」という感情も、自分について教えてくれます。

たとえば、

「人に急かされるのが苦手」

と感じるなら、自分のペースを大切にしたいのかもしれません。

「大人数の集まりに行くと疲れる」

と感じるなら、少人数でゆっくり人と関わるほうが心地よいのかもしれません。

「細かく管理される働き方が苦しい」

と感じるなら、ある程度自分で判断できる環境を求めている可能性もあります。

もちろん、一つの「嫌い」だけで自分の価値観を決めつける必要はありません。

大切なのは、

「私は、何が嫌だったんだろう?」

と、感情の奥にある理由を考えてみることです。

嫌なことの反対側に、自分が大切にしたいものが見つかることがあります。

3.「〜すべき」をいったん外して考える

自分の考えだと思っているものの中には、家族や社会、これまでの経験から受け取った価値観が含まれていることがあります。

「安定した仕事に就くべき」

「結婚したほうが幸せ」

「もっと社交的になるべき」

「この年齢ならこれくらいできるべき」

そんな言葉が浮かんだときは、一度こう考えてみてください。

「誰にも評価されないとしたら、それでも私はこれを選びたい?」

もちろん、現実にはお金や仕事、家族、責任などがあります。

自分の気持ちだけですべてを決められるわけではありません。

それでも、

「本当はどうしたいのか」

と、

「現実的に何ができるのか」

を一度分けて考えることには意味があります。

まず自分の気持ちを知り、そのあとで現実との折り合いを考える。

そうすることで、これまで気づかなかった自分の希望が見えてくることがあります。

4.これまでの自分を振り返る

今の自分がよくわからないときは、これまでの人生を振り返ってみるのも一つの方法です。

「子どものころ、何をしている時間が好きだった?」

「時間を忘れて夢中になったことは?」

「これまでで心地よかった時期は?」

「反対に、苦しかった時期には何があった?」

「どんな人といると自然体でいられた?」

こうした質問を、自分自身に投げかけてみましょう。

過去を振り返る目的は、「昔好きだったものこそ本当の自分だ」と決めつけることではありません。

これまでの経験の中から、自分が心地よさを感じやすい環境や、大切にしてきたものの傾向を探すためです。

一つひとつはバラバラに見える経験でも、並べてみると共通するものが見つかることがあります。

5.気になることを小さく試してみる

自分について考えることは大切ですが、考えているだけではわからないこともあります。

そんなときは、興味を持ったことを小さく試してみましょう。

気になっていた場所へ行く。

読みたかった本を読む。

新しい趣味を一度だけ体験する。

普段とは違う人と話してみる。

一人でゆっくり過ごしてみる。

そして、その経験をした自分がどう感じたのかを観察します。

「思ったより楽しかった」

「憧れていたけれど、やってみたら違った」

「もっと知りたいと思った」

「もう一度やりたい」

どんな反応でも構いません。

「やってみたけれど合わなかった」という経験も、自分を知るための立派な材料です。

頭の中だけで「本当の自分」を探すのではなく、いろいろな世界に触れながら、自分の反応を確かめていく。

そうすることで、「私はこういうものが好きなんだ」「これは大切にしたいんだ」と、自分の輪郭が少しずつ見えてくることがあります。

自分を知るときに大切にしたいこと

自分を一つの言葉で決めなくていい

自分を理解しようとすると、

「私は内向的な人」

「私は飽きっぽい」

「私は人付き合いが苦手」

など、わかりやすい言葉で自分を分類したくなることがあります。

性格診断なども、自分について考えるきっかけとして役立つことはあるでしょう。

ただ、一つの言葉や診断結果だけで、その人のすべてを説明できるわけではありません。

一人で過ごすのが好きでも、大切な人とはずっと一緒にいたいかもしれません。

慎重な性格でも、本当に興味のあることには思い切って挑戦できるかもしれません。

一見矛盾しているような部分があっても構いません。

自分を知ることは、自分を狭い枠に当てはめることではないのです。

「わからない」という状態を急いで終わらせなくていい

何をしたいのかわからない。

どこへ向かいたいのかわからない。

そんな時期が続くと、「早く答えを見つけなければ」と焦ってしまうことがあります。

でも、無理に答えを出す必要はありません。

「今の私は、まだわからないんだな」

と認めるところから始めてもいいのです。

わからないからこそ、立ち止まって考えることができます。

知らなかった世界に触れることもできます。

迷っている時間も、自分自身について知っていく過程の一つです。

自分は変わってもいい

「本当の自分」を見つけたら、その自分でずっと生きなければならないわけではありません。

好きなものが変わってもいい。

夢が変わってもいい。

付き合う人が変わってもいい。

大切にしたいものが変わってもいい。

以前自分で選んだ道を、「やっぱり違う」と思うことがあってもいいでしょう。

人はさまざまな経験をしながら変化していきます。

だから、自分を知ることは「一生変わらない本当の自分」を見つけることではなく、そのときの自分が何を感じ、何を大切にしているのかを確かめていくことなのかもしれません。

「自分がわからない」苦しさが強いときは

自分について迷ったり、何をしたいのかわからなくなったりすることは、それだけで病気を意味するものではありません。

ただし、「自分がわからない」という感覚とともに、強い不安や落ち込みが長く続いている場合や、日常生活に支障が出ている場合には、一人で抱え込まないことも大切です。

必要に応じて、医療機関やカウンセラーなどの専門家へ相談することも選択肢の一つです。

自分を知るために、すべてを一人で解決しなければならないわけではありません。

まとめ|自分を知ることは、自分の声を聞くこと

自分のことがわからなくなる背景には、さまざまなものがあります。

周囲の期待を優先していることもあれば、「こうあるべき」という考えにとらわれていることもあるでしょう。

忙しい毎日の中で自分の気持ちを後回しにしていたり、以前とは自分自身が変わっていたりすることもあります。

だからこそ、いきなり「私は何者なのか」という大きな答えを出そうとする必要はありません。

心が動いた瞬間を覚えておく。

嫌だと感じた理由を考える。

「〜すべき」を少しだけ外してみる。

これまでの自分を振り返る。

そして、気になることを小さく試してみる。

そんな小さな積み重ねから、自分の輪郭は少しずつ見えてきます。

自分らしさは、どこか遠くに隠されている「たった一つの正解」ではないのかもしれません。

今日、何を心地よいと感じたのか。

何に違和感を覚えたのか。

何をもっと知りたいと思ったのか。

そして、本当はどうしたいと思ったのか。

そんな自分の小さな声に耳を傾けながら、いろいろな世界に触れてみる。

その繰り返しが、自分を知り、自分らしく生きていくための一歩になっていくのではないでしょうか。

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